ドラックストアのオープニングスタッフ、採用ミスで修羅場に

ドラックストアのオープニング時にアルバイトに採用された時の話です。 家から歩いて10分程度のお店だったことと、当時学生で午後からの授業が多く、午前中の短時間働ける仕事を探していて、 募集要項に「午前中のみOK」と書いてあったので、すぐに応募し採用されました。 オープニングスタッフなので、30人の大量募集でした。

そしてまだまだ人が足りないと考えたのかオープン前の準備や研修中にもどんどん アルバイトやパートが採用されていき、全部で40人以上のスタッフが入りました。それでもオープニング前は忙しく、社員もアルバイトも総出で準備を頑張っていました。 アルバイトは準備の合間にレジ打ちの練習をしたり、大勢で和気あいあいと楽しく仕事をしていました。

無事にオープンの日を迎え、一週間は特価セールで大勢のお客さんが押し寄せ、レジに品出しに嵐のような日々でした。 私は9時~12時まで、という契約だったので、特にパートの主婦の方と働く時間がかぶり、一番多くのスタッフが働く時間帯でした。

しかし当然ですがオープニングセールの一週間を終えると、一気に客足が鈍くなりました。 それでもアルバイトは決まった時間に来るので、特に午前中の時間帯はお客さんはちらほらなのに、スタッフが20人くらいいるという、異様な状態になりました。 オープン時には必要な人数でしたが、通常時は明らかにスタッフが多すぎです。 レジも品出しもそんなにやることはなく、ただ制服を着た大人数のスタッフが店舗内をうろうろしている状態です。 お客さんも「なんだか店員さんが多すぎて緊張しちゃうな」なんて言っていました。

会社側も困惑しているのが明らかでした。 オープニング時のみの臨時アルバイトを雇うべきだったところ、期間を設けない長期アルバイトとして採用してしまったという採用ミスであることは間違いありません。

間を置かずに、採用に関わった社員からひとりひとり面談をしたいという話がありました。 私は働く時間も一番人が余りきっている時間帯だったので、おそらく辞めることになるだろうなと予測し「まあ仕方ない、また他のアルバイトと探せばいい」という程度に簡単に思っていました。 面談では 「(アルバイトのの足りない)夜の時間帯や、土日に働いてほしい」 という事を言われましたが、当時土日は他のアルバイトをしていたし、夜働くよりは時間の空いている午前中に働きたかったので、「それでは辞めます」と、あっさりと決まりました。

しかし、主婦パートさんたちの怒りは爆発していました。 「完全にそっちのミスだから、ただ辞めろでは済まされない!」 「子どもが塾に通わせるために仕事をはじめたのに!」 「辞めろというなら土下座しろ!」 とまで、もはや修羅場と化していました。

一緒に仕事をしている時には若年者の私をとても可愛がってくれて、優しい人たちばかりだったのに、その豹変振りに恐れおののくと同時に、 やはり生活がかかっている分気迫が違うのだと、まるでドラマでも見ているような気持ちになりました。

その主婦の方たちの怒りと、気迫と、粘りのおかげで、 「契約を切られるアルバイト、パートについては、採用時からの給与を倍にして支払う」 という条件で落ちつき、ラッキーなことに私もそれに便乗でき、オープニング研修時から約一ヶ月間のアルバイト給与を倍額の支払いで、辞めることになりました。

現在は自分も主婦になり、今になって思えば主婦にとって家から近く、子育てや家事に支障をきたさない仕事はとても貴重なものだとわかります。 のほほんと学生生活を送っていた私とは比べものにならないほどの切実さが理解できるようになりました。 アルバイトではあっても会社都合の不当な解雇には断固として戦う、主婦の方たちの姿は当時は恐ろしくも思いましたが、必要な抗戦であったと感じます。